エリオット波動理論の基礎
エリオット波動理論は、ビットコインの長期的な価格変動を予測する強力なツールです。この記事では、5つの推進波と3つの修正波の基本的な考え方から実践的な活用法まで詳しく解説します。
TradingView によるチャート (BINANCE:BTCUSDT)
上記はBINANCE:BTCUSDTのリアルタイムチャートです。価格動向の参考にしてください。
上記チャートでは、ビットコインの実際の価格変動にエリオット波動を適用した例を表示しています。波動の数え方と予測手法を学んでいきましょう。
エリオット波動理論の基本原理
基本的な波動構造
推進波（Impulse Wave）
- 5つの波で構成（1-2-3-4-5）
- トレンド方向への動き
- 1、3、5波が推進、2、4波が修正
- 全体的な価格の方向性を決定
修正波（Corrective Wave）
- 3つの波で構成（A-B-C）
- トレンドに対する調整の動き
- 推進波の後に必ず発生
- 次の推進波への準備期間
エリオット波動の3つの基本ルール
絶対に破ってはいけないルール
- 波動2は波動1の起点を下回らない
- 波動3は1、3、5波の中で最短ではない
- 波動4は波動1の価格帯に重複しない
これらのルールが破られた場合は波動の数え直しが必要
エリオット波動のガイドライン
フィボナッチ比率との関係
波動2: 波動1の38.2%、50%、61.8%調整
波動3: 波動1の1.618倍、2.618倍
波動4: 波動3の23.6%、38.2%調整
波動5: 波動1と同長、または波動1の0.618倍
時間比率
- 修正波は推進波より時間がかかる傾向
- 波動4は波動2より複雑で時間がかかる
- 波動3は通常最も短時間で最大の値幅
5つの推進波の特徴
波動1（第1波）
特徴
- トレンドの始まり
- 比較的小さな値動き
- 多くの投資家が気づかない段階
- 出来高は普通
ビットコインでの波動1
- ファンダメンタル要因での上昇開始
- 技術的なブレイクアウト
- 長期下落からの反転
売買戦略
買いタイミング: ブレイクアウト確認後
目標価格: フィボナッチ1.618倍
損切り: 前回安値割れ
波動2（第2波）
特徴
- 波動1に対する調整
- 深い調整（50-61.8%）が多い
- 悲観的なニュースが多い
- 出来高は減少傾向
心理状態
- 「やはり上昇は一時的だった」
- 早期の利確売りが集中
- 新規買いは少ない
売買戦略
買いタイミング: フィボナッチ61.8%付近での反発
確認方法: RSIの逆ダイバージェンス
損切り: 波動1起点割れ
波動3（第3波）
特徴
- 最も強力で長い波動
- 大量の出来高を伴う
- メディアの注目開始
- トレンドフォロワーの参入
ビットコインでの波動3
- 機関投資家の本格参入
- ETF承認などの好材料
- FOMO（見逃し恐怖）による買い殺到
売買戦略
エントリー: 波動2終了確認後
目標価格: 波動1の1.618-2.618倍
追加買い: 押し目での買い増し
部分利確: 目標価格到達時
波動4（第4波）
特徴
- 複雑な調整パターン
- 横ばいまたは浅い調整
- 時間をかけて調整
- 出来高は減少
調整パターンの種類
- 三角持ち合い: 最も一般的
- フラット修正: 横ばい調整
- ジグザグ修正: 急激な調整
売買戦略
戦略: 様子見または小口での押し目買い
買いタイミング: 三角持ち合いの下値支持
避けるべき: 大口での新規買い
波動5（第5波）
特徴
- 最終的な上昇波
- 出来高は波動3より少ない
- 一般投資家の参入ピーク
- 弱気ダイバージェンス発生
警戒サイン
- RSIが新高値を更新しない
- 出来高の減少
- メディアの過度な楽観
- 個人投資家の大量参入
売買戦略
エントリー: 波動4終了確認後（小口）
利確: 積極的な利確（波動5は最後の波）
目標: 波動1と同程度の値幅
出口戦略: 弱気ダイバージェンス確認で全て利確
3つの修正波（A-B-C）
A波（第A波）
特徴
- 推進波5波終了後の最初の下落
- 多くの投資家は「調整」と認識
- 「買い下がり」が入りやすい
- 出来高は増加傾向
市場心理
- 「一時的な調整」
- 「押し目買いのチャンス」
- まだ強気ムードが残る
B波（第B波）
特徴
- A波に対する反発
- しばしば前高値に近づく
- 「偽の回復」
- 出来高は少ない
危険な波動
- 多くの投資家を騙す
- 「やはり上昇トレンド継続」と錯覚
- 最後の売り逃しチャンス
C波（第C波）
特徴
- 本格的な下落波
- A波より深く下落
- 大量出来高を伴う
- パニック売りが発生
売買戦略
A波: 部分利確、様子見
B波: 残りポジション全て利確
C波: 空売りまたは現金ポジション
実践的な波動分析
ビットコインの長期波動分析
2017年バブルの波動構造
波動1: $1,000 → $3,000（2017年前半）
波動2: $3,000 → $1,800（夏の調整）
波動3: $1,800 → $20,000（本格上昇）
波動4: $20,000 → $6,000（2018年調整）
波動5: $6,000 → $69,000（2020-2021年）
現在の位置（2024年基準）
- 2021年の$69,000が波動5の完成
- 2022年の大幅下落がA波
- 2023年の回復がB波
- 現在はC波またはなの新しいサイクル1波の可能性
中期波動の活用
日足での波動分析
- 明確な5波構造の特定
- 各波動のフィボナッチ比率確認
- 出来高との整合性チェック
- 現在位置の特定
売買タイミング
波動1-3: 積極的な買い
波動4: 押し目買いまたは様子見
波動5: 慎重な買い、利確準備
A-B-C: 売りまたは現金ポジション
フィボナッチ比率との組み合わせ
価格目標の設定
推進波の目標価格
波動3目標: 波動1起点 + (波動1値幅 × 1.618)
波動5目標: 波動1起点 + (波動1値幅 × 1.0)
修正波の目標価格
A波目標: 推進波5波高値の38.2-61.8%調整
C波目標: A波値幅と同等またはA波値幅×1.618
時間分析との併用
波動の持続時間比率
- 波動2と波動4の時間比率
- 推進波と修正波の時間比率
- フィボナッチ時間比率の適用
よくある分析エラー
波動の数え間違い
典型的な間違い
- 希望的観測による波動ラベル
- ルール違反の見落とし
- 時間軸の混同
改善方法
- 複数のシナリオを用意
- ルールを厳格に適用
- 客観的な分析を心がける
過度な複雑化
問題点
- サブ波動まで細かく分析
- 修正波の複雑なパターンに固執
- 分析のための分析
解決策
- シンプルな波動構造を優先
- メイン波動に焦点
- 実用的な分析レベル
エリオット波動の限界
主観性の問題
課題
- 波動の起点・終点の判定
- 複数の解釈可能性
- アナリストによる見解の違い
対策
- 他の分析手法との併用
- 複数シナリオの準備
- 柔軟な判断
時間軸の問題
注意点
- 長期予測の不確実性
- 短期的なノイズの影響
- リアルタイム分析の困難
まとめ：エリオット波動の実践活用
成功のポイント
- 基本ルールの厳守: 3つの基本ルールは絶対
- フィボナッチとの併用: 価格・時間目標の精度向上
- 複数シナリオ: 一つの解釈に固執しない
- 他手法との統合: 総合的な判断
実践的な活用方法
長期投資
- 大局的なトレンド方向の把握
- 主要な売買タイミングの特定
- リスク管理の基準設定
短中期取引
- 波動内での細かい売買
- 押し目買い・戻り売りタイミング
- 利確・損切りレベルの設定
エリオット波動理論は相場の自然なリズムを理解するための強力なツールです。ただし、完璧な予測ツールではないことを理解し、他の分析手法と組み合わせて活用することが重要です。投資は自己責任で行い、余剰資金での取引を心がけましょう。
